孔子誕生の地

中国古代の五大聖人、孔子、孟子、顔子、曾子、子思は、済寧エリアで生誕した。省の南西部、京杭運河沿いに位置する。泰山の南70キロ、車で一時間ほどのところに曲阜の街がある。紀元前11世紀の西周時代に始まり、長い歴史をもつ魯の国の都、孔子の故郷である。

孔子は3歳で父を失い、母に連れられて尼山に近い昌平郷から曲阜に移った。苦学のすえ20歳で会計士の職につき、五十歳で司寇(法務大臣)まで進んだが、自分の政治的見解が取り入れられなかったので辞任、弟子を連れて諸国を歴遊、治国の道を説いて周った。やがて魯に戻り、教育と『詩経』『書経』など古典の整理に全力を集中、没した。孔子逝去の後、弟子たちが孔子の言行を『論語』として編集した。

代表都市
曲阜

孔子の生まれ故郷である。春秋戦国の時代、曲阜には魯の国の都が置かれた。34代900年以上続いた都城は、周王朝の侯国の中でもとりわけ長い存続年数を誇っている。「曲阜」という地名はずっと後の時代、隋の596年につけられている。ちなみに「阜」とは「丘」を意味する。

曲阜には「三孔」という孔家の遺跡がある。孔廟、孔府、孔林の三つである。孔廟は孔子の神霊を祀り、孔府は歴代衍聖公の住居、そして孔林は孔家の嫡流に与えられた名称で、それは王族に等しい地位・待遇を意味していた。

曲阜とその近郊には、ほかに孟子廟(孟子を祀る)、梁公林(孔子の両親と兄・孟皮の墓)、顔廟(孔子の弟子、顔回を祀る)、周公廟(周の武王の弟、姫旦を祀る)、少昊陵(三皇五帝のなかの少昊の墓)などの史跡がある。

済寧

済寧市は文化的観光資源が豊富である。曲阜の孔廟、孔府および孔林と京杭大運河はユネスコに登録されている。

歴史文化は悠久で、東夷文化、華夏文明、儒家文化、水滸文化、運河文化発祥の地として重要な位置を占めている。また、儒家創始者の至聖孔子、亜聖孟子、復聖顔回、歴史家左丘明もこの地で産まれた。特筆すべきは京杭大運河の役割であり、元明清時代、京杭大運河が済寧の経済発展を促し、現在の済寧は国内有数の商業都市となっている。

見どころ
三孔明故城(三孔)観光地
孔廟、孔府、孔林、合わせて「三孔」と呼ぶ。1994年、ユネスコの世界文化遺産として登録された。
  • 孔廟
    魯国の哀公が孔子がなくなった翌年(紀元前478年)に孔子を祀るために建てたもの。当時は3部屋だけであったが、明清時代に増築が繰り返され、南北1キロ、総面積2万平方メートル、部屋数466となった。北京の紫禁城、泰山の岱廟とともに中国三大宮殿建築の一つとされている。
  • 孔府
    孔府は衍聖公府とも呼ばれる孔子の嫡子が暮らしてきた邸宅。創建後何度も拡張されたため、現在敷地内には460もの部屋がある。東華大街に面した白い壁の孔府大門をくぐり、孔府前に進むと現れるのが重光門。大堂は孔府の主人である衍聖公が勅命を受けたり、官吏と接見した建物。
  • 孔林
    孔林は、孔子をはじめとする孔家歴代の墓所であり、世界で最も長く続いている一族の墓地。万古長春坊は孔林に向かう参道の途中にある。明の万暦22年(1594)の創建。孔子の孫で『中庸』の著者として有名な孔伋の墓がある。                                               
  • 尼山孔廟および書院景勝地
    『史記・孔子世家』によると、孔子の母はここで孔子が無事生まれてくるようにお祈りをしたと言われている。建築群は尼山孔廟と尼山書院を含む。尼山孔廟は五代後周顕徳年間(954〜960年、顕徳は五代最後の王朝、後周において用いられた元号)に、孔子生誕の地を記念して建てられた。
  • 夫子洞
    曲阜から車で30分ほど南東へ走ったところにある。小さな木がまばらに生えているだけの、なだらかな山で、高さ340メートルという。その山のすそに尼山孔子廟がある。夫子洞は、廟が建っている崖下の、小さな洞穴をいう。砂城の堆積岩に囲まれた洞穴で、孔子は生まれたと伝えられる。
  • 孔子六芸城
    景勝池は孔子六芸城(六芸文化体験区)と孔子の故郷園(民俗展示区)の二つのエリアから構成され、観光、リゾート、ショッピング、リクリエーション、グルメを中心とした、鑑賞・参加型の娯楽センターとなっている。
  • 孔子文化園
    元の中統5年(西暦1274年)の創建。天国との境目とされ、中に入れば仙人になれるといわれてきた。門前の石段部分は「緊十八磐」と呼ばれ、上から見下ろすとまるで垂直に見え、思わず足がすくんでしまう。
  • 鄒城孟廟、孟府観光地
    孟廟、亜聖廟(儒教では孔子に次ぐ重要な人物、亜は中国語で「第二位」のという意味)とも呼ばれる。孟廟は南北に長い長方形で、五進の門をもち、殿宇は64間あり、敷地面積は4万平方メートルを超える。
  • 曾廟景勝地
    曾廟は嘉祥県城南から15キロ南にある武山に位置する。またの名を曾子廟、宗聖廟とも呼び、代々孔子の弟子たちが孔子の霊を祀った専用廟宇(祖先や貴人の霊を祭る建物)のことで、中国でも有名な古代建築群の一つである。
グルメ
  • 甕肉干飯
    甕肉干飯は済寧地方の伝統的な料理である。起源は元朝と言われる。京杭大運河が開通したことで、南方の米が北方に運ばれるようになった。その頃から、甕と呼ばれる器に肉と米を一緒に美しく盛り付けて食べるようになり、特別な趣があった。
  • 孔府料理
    孔府料理は中国飲食文化の重要な構成要素の一つである。その起源は宋仁宗宝元年に遡る。貴賓の接待、赴任、誕生日、冠婚葬祭などで出されることが多い。
  • 済寧糊粥
    糊粥は、微山から済寧に至る運河両岸で流行し、数百年の歴史を持つ、有名な運河飲食文化の一つである。口に入れると米と豆の香りが広がる。胃にもやさしい。消化を助け、疲労回復の効果もある。
  • 浮かぶ魚肉団子スープ
    魚団子スープは微山湖の伝統料理である。一般的な魚団子はスープの下に沈むが、微山湖の魚団子スープはその全部が表面に浮かぶため、漂湯魚肉団子(魚団子が漂うスープ)と呼ばれるようになった。
  • 済寧ひき割りスープ
    ひき割りスープは、別名「肉粥」と呼ばれる。山東、河南、江蘇、安徽地方の境界線付近で流行した一般家庭の朝ごはん。中華風揚げパン、揚げ餅、蒸し餃子と一緒に食べる。
おみやげ
曲阜には三つの宝がある。碑帖(石刻)、楷雕(楷木で作った工芸品)、尼山硯。碑帖は石碑に字を彫り刻み、紙と墨で版画のように写す工芸品である。その方法は、史料と書道芸術として保存されており、模写、研究、鑑賞に役立っている。楷雕は楷木に彫刻を施して作る工芸品で、1000年以上の歴史がある。尼山硯石は石質がよく、触り心地もよい。特徴的なのはみかん色であることと、不均等の青黒色の模様である。孔子が誕生した尼山の地名から、尼山硯と命名された。